目で見て楽しむ
「料理は、まず目で見て楽しむ」といった言葉を聞かれたことはないでしょうか?
特に、「日本料理は目で見て楽しむ」と言われるほど、味はもちろんのこと見た目にもこだわって作られますのが和食です。
高級な料亭などでは、その傾向が強いようです。
見た目を良くするために使われる植物の花や枝葉を「つまもの」と呼びます。
色鮮やかに料理を演出し、料理を目で楽しむための、重要な役割を担っています。
同様に御節料理では、飾り葉と呼ばれる植物が用いられます。
御節料理は、新年のめでたい時に食べるものであることから、食材は縁起を担いだものがほとんどで、料理を詰める重箱や仕切りに使う飾り葉も縁起物として扱われます。
ここではその飾り葉について説明いたします。
飾り葉には、縁起を担いだ色とりどりの食材達を更に際立たせる意味合いと、それ自体も縁起を担ぐ意味の他に「味や香り移りを防ぐ」「防腐効果」「殺菌効果」と言う実用面でも意味があります。
飾り葉の種類
御節料理に使われる飾り葉には次のような種類があります。
裏白:裏が白い葉で「心に裏表がない正直なさま」を意味し、白い裏側を上にして使います。
南天:「難を転ずる」と言う意味合いで縁起を担ぎます。
松:常緑で樹齢が長い松は長寿の象徴で「長寿」を願って使われます。
菊:菊の花は長寿を表し、菊の葉は邪気を払う意味を持ちます。菊花かぶに添えられます。
葉蘭:料理の敷物や仕切り、または切り細工して飾りとしても使われます。
ゆずり葉:若葉が出ると古い葉が譲るように落ちる事から「家計継続繁栄」を意味します。
つくばね:羽根つきの羽根のもとであるとされ、正月の飾りとして使われます。
千両・万両:その名の通りお金にまつわる縁起物として飾られます。
柚子:葉ではなく果実をくり抜き、器として使う他、香りや彩りも添えられます。
防風:お屠蘇の材料として使われますが、料理にも使う場合もあるようです。
飾り葉の薬効
料理に添えられた際の効果は限られますが、ここでは飾り葉の効用をご紹介します。
南天:葉は薬用で健胃・解熱・鎮咳に使われ、料理に沿える場合は防腐効果が期待されます。
菊:菊花は抗酸化・解毒効果があるとされています。
葉蘭:防腐効果があるとされています。
千両:風邪・リュウマチ・神経痛などですが、御節料理に使う分には期待されないでしょう。
柚子:殺菌効果が期待されます。
防風:根及び根茎が生薬とされ、発汗・解熱・鎮痛・鎮痙作用があります。