元日までの準備

御節料理を作るのと同様に、お正月に欠かすことのできないお飾りも大晦日までに準備するのが通例となっています。
そして御節料理を食べる祝箸も例外ではありません。
普通の割り箸とは異なり、特別な箸ですので、祝箸にも準備は必要となります。

どれだけの家庭で行われているかどうかは、ともかくとして祝箸の本来の準備の方法をご紹介します。
まず大晦日に、各家庭の家長が祝箸の箸袋に家族の名前を一人一人、全て書きます。
これは家長の大切な役目の一つです。

書き終わったら、その祝箸を元旦、つまり元日の朝まで神棚へお供えしておきます。
そして、元旦の朝から使い始めます。
これも、年神様が新年にお越しになるのを迎え入れる準備のひとつです。

祝箸の作法

普通のお箸と同様、もしくはそれ以上に厳しい作法が、祝箸にはあります。
祝箸は割り箸のように、一度で使い捨てにしてはいけません。
お正月に使う場合は、自分できれいに洗い清め、松の内の間は使い続けます。

松の内とは、お飾りを飾っておく間、つまり元日から15日までのことを指します。
現在では地域差はありますが、1月7日までが松の内とされることが多いようです。

日本の食事の際の習慣として、大きな皿に盛った料理を箸の反対側、持ち手の方で取り分けることがありますが、これは特に祝箸では厳禁とされています。
両側が細くなっており、どちらでも使うことが出来る形状の祝箸ですが、片方は人間、もう片方は神様が使うものというのが本来の意味です。

持ち手の方で食べ物をつかむことは、神様の使う側を使うことになってしまいます。
これは、心配りの出来る正しい作法として認識されていますが、実は祝箸だけでなく、普通のお箸の作法でも「逆さ箸」と呼ばれマナー違反とされています
取り分ける際には、もう一膳、専用の箸を用意しましょう。

祝箸の処分

松の内が終わればお飾りなどと一緒に祝箸もどんど焼で焼いてもらいます。
どんど焼きとは、1月15日にしめ縄や松飾りといったお正月に使用したものを持ち寄って一斉に燃やす行事です。

祝箸も神様と一緒に使った神聖なお箸ですから、ゴミと一緒に捨てるのではなく、どんど焼きで燃やすのです。
神様はどんど焼きの煙とともに、天に帰っていくと考えられています。

神様と一緒に食事をすることで、神様からご利益を得たり喜びを共有したりすることが最も大切な事なので、特別に祝箸を用意して使う理由はそこにあります。
古来より神聖なものを扱うために用いられたのが祝箸です。
現在でも同じように扱うのが正しい作法と言えるでしょう。