決まりがある

江戸時代まではただの山盛り御飯だけだった御節も、江戸時代後期になると、様々な料理で盛り付けられる様になりました。
重箱に盛り付けるのが一般的ですが、この盛り付け方にも決まりがあります。

各地方や家庭によって重箱の段数は変わっています。
また、その段数によっても、盛り付け方は異なります。
最近では三段重が一般的で、上から「一の重」、「二の重」、「三の重」と呼ばれており、更に段数が増えると、「与の重」、「五の重」と呼ばれます。

普通は4段目の重には「四」の字を使いますが、これは「四」の字が「死」を連想される事から、「与」の字を使っています。
ここでは一番ポピュラーな三段重について、解説したいと思います。

一の重の盛付

まず、一の重には御節の基本となる「祝い肴三種」や、「口取り」を盛り付けていきます。
数の子、黒豆、田作りといった三種の祝い肴(関西では田作りの代わりに「たたき牛蒡」を入れます)とともに、昆布巻き(宝巻)、栗きんとん、紅白蒲鉾、伊達巻などの口取りを入れます。

「口取り」とは「口取り肴」の略で、元々は、もてなしの料理の膳、「饗膳(きょうぜん)」を指します。
お吸い物と一緒に、最初に出される一皿に盛り合わせた料理のことを言い、お節料理で口取りに当たるのは、栗きんとん、昆布巻、紅白かまぼこ、伊達巻などです。

一の重の盛り付けを具体的に言うと、田作りは、頭の向きを左に揃え、小皿に盛り付けます。
数の子は、なるべく重箱の中心に盛り付けると、見栄えが良くなります。
紅白かまぼこは、紅色と白色が交互に見えるように詰めていきます。

昆布巻きは重箱の角に盛り付け、バランを敷くと、見栄えが良くなります。
また、かんぴょうは結び目が上になる様に盛り付けます。
反対の角には、収まりやすい栗きんとんを入れ、黒豆は小鉢に入れて盛り付けます。

二の重の盛付

二の重には、海の幸と酢の物を入れるのが基本でしたが、現在では焼き物も入れるようになっています。
焼き魚やエビなどが見た目にも豪華なので、焼き物がメインになります。

まずは一番大きい面積が必要なエビと、焼き魚を枡かけの様にして並べると良いでしょう。
そして田作りと同じ様に、頭は左に向けて並べるのが基本です。
空いた隙間には、ハマグリの酒蒸しやレンコンの酢の物などを入れましょう。
紅白なますは、紅と白のバランスを考えて小鉢に盛り付けます。

三の重の盛付

三の重はほとんどが煮物になので、小鉢などに分けなくても良いです。
見栄え良く、一つ一つの食材を分けて入れる様に注意して下さい。

山の幸の煮物は里芋・椎茸・こんにゃく等なので、盛り付け方は重箱に扇を描く様に配置すると、見栄えが良く見えます。
素材の丸みを活かすと良いでしょう。

各重の詰め方のコツとしては、「蒲鉾等の様に、詰めても型崩れしない物を先に詰める」、「奥から手前に詰める」、「味や香りが移らないように、バランや小鉢を使う」、「厚みのないものは重ね盛りし、全体の高さを揃える」、「魚や海老等は頭を左にする」等が挙げられます。