くわいとは

おせち料理には、普段あまり口にすることのない、縁起の良いとされる食材が使われます。
くわいもその一つで、自分では食べないけれど、お正月で実家に帰省した時だけくわいを食べるという人も多いのではないでしょうか。
中国から平安時代に日本に伝わったと言われているくわいは、姿が鍬(くわ)に似ていることから「鍬芋」と呼ばれ、これが後に「くわい」に転じたという説があります。

「田草」「燕尾草」などの別名も持っているくわいは、漢字では「慈姑」と書きます。
これは、収穫したくわいの姿が子供にお乳をあげている慈悲深い姑の姿に似ているからだと言われています。
芽が出る様子から出世祈願にもつながる縁起物とされており、おせち料理には好んで使われます。

くわいの煮しめの作り方

くわいは自宅でも比較的簡単に調理できるので、ひと手間をかけて美味しい手作りのおせち料理を作ろうと考えているのであれば、煮しめにチャレンジしてみるのも良いのではないでしょうか。
材料はくわい5〜6個に対してだし汁が1カップ、有機醤油大さじ1、みりん小さじ2、砂糖小さじ2、塩がひとつまみです。

くわいはまず水でよく洗い、下から芽の方向にかけて皮を剥いてきます。
芽は全部切り落とさずに、1cmほど残しておきます。
水にしばらくさらした後に、お米のとぎ汁で下茹でをします。
お米のとぎ汁を下茹でに使うのは、くわいから出たアクをお米のでんぷんがからめ取って吸着し、再びくわいの中に吸収されてしまうのを防ぐためです。

お米のとぎ汁を使うと甘みも増し、おいしい煮しめが出来上がります。
お米のとぎ汁がない時には、下茹でするお湯に小さじ一杯の小麦粉か片栗粉を入れたもので代用することもできます。
くわいとは別に調味料とだし汁を火にかけ、下茹でしたくわいを加えて15〜20分ほど弱火で煮ます。
火を止めた後はそのまま冷ますことによって味が中までよく沁みます。

くわいを剥くときに、単に丸く向くのではなくて六角形か八角形に作ると料亭のような仕上がりになりますので試してみてください。
市販のおせち料理に含まれているくわいのように色を黄色くするためには、着色料としてくちなしの実を使用します。

くわい自体はあっさりとした淡白な味わいですので、味の濃いお料理を楽しみたい場合にはくわいの竜田揚げもおすすめです。
くわいは洗ったら輪切りにして、片栗粉をまぶして油で揚げるだけですので、何かもう一品欲しいという時に重宝します。
最後に塩コショウして味を整えます。

青海苔をまぶせばまた違った味わいを楽しむことができます。
あまり馴染みのないくわいは炒め物やひじきと合わせたサラダにも使える便利な食材ですので、お正月をきっかけにレパートリーを増やしてみるのもいいものです。