本当に食べることができそうな質感が特徴

アートの表現方法のひとつに、「黒板アート」という手法があります。
これは黒板に絵を描くもので、紙に描くのとは違う雰囲気を演出することができます。
黒板は多くの人に馴染みのあるもので、それを使って表現することで、多くの人に懐かしさや親しみも感じさせてくれます。

こうしたことから黒板アートはさまざまな人が創作活動をするようになっており、「黒板アート甲子園」というイベントが開催されています。
黒板アート甲子園では、黒板をキャンバスとした作品の中から、優秀なものを表彰するというものです。
審査員はアーティストや大学で美術を教えている教授などさまざまで、黒板アート甲子園で受賞した作品は、それだけ魅力あふれるアートと言えます。

2019年に黒板アート甲子園で最優秀賞を受賞した作品は、おせち料理を黒板一面に描いた作品です。
この作品は会津学鳳高美術部の生徒が描き、部員である5人の生徒によって作られました。

ちなみに御節料理は「おせち料理」とひらがなで書くのが一般的です。
ただ、人によっては御節料理と漢字表記にすることもあるため、ここでは読みにくいかもしれませんが漢字としています。

黒板一面に、おせち料理がダイナミックに描かれている

黒板アートによって表現されたこの御節料理のサイズは、縦が110cm、横が330cmとなっています。
家庭で食べる御節料理も豪華な雰囲気があるものの、ここまで大きなサイズの箱に入っていることはありません。
そのためダイナミックな雰囲気があり、日本ならではの料理の魅力を感じさせてくれます。

黒板も日本特有のものであり、御節料理も古くから親しまれているものです。
この2つが組み合わされることにより、新たな作品が生まれたのです。

御節料理に描かれているのは数の子や栗きんとんの他、田作りもあります。
料理の数は全部で15品あり、どれも美味しそうに描かれています。
料理の絵は「どれだけリアルに表現できるか」が、ひとつの基準になることがよくあります。
その意味で描かれた御節料理は、単に特徴的なアートというだけでなく、それぞれの料理が見事に表現されているのです。

生徒たちは、色の出し方を工夫

会津学鳳高の生徒は、御節料理の華やかさをできるだけ正確に表現しようと、工夫を重ねました。
「チョークだけで魚のうろこの照りを表現したり、煮しめの質感を演出したりするのは、かなり難しかった」と生徒は振り返っています。

毎日7時間くらいを創作活動に充てながら学校の勉強も頑張り、この作品は完成しました。
生徒5人で仕上げをしたことで、大きなサイズの作品ながら統一感が感じられます。
ぜひこの魅力的な作品を、あなたも見てみてください。