どんな場面で使うのか
日本におけるおめでたい日の代表がお正月です。
1年に1度やってくる非日常の日には、いつもと違うことをしたり、物を使ったりします。
最近では、見かけることが少なくなりましたが、門松やしめ縄、鏡餅を飾る家庭もあります。
今も定番の風習として続いているのは、お年玉でしょう。
料理を食べる時も同様です。
お正月に食べる料理はもちろん御節料理ですが、食べる時にも普段は使うことのない祝箸と呼ばれる箸で食べます。
色鮮やかな袋に入っており、普通の割り箸とは異なる、豪華な箸のことです。
お正月に使うことが多い祝箸ですが、結婚式や、赤ちゃんが生まれて100日後(地域によって異なります)に行われる「お食い初め」でも使われます。
初めて、お母さんの母乳ではない食べ物を口にする儀式ですが、実際に祝箸で食べる訳ではなく、食べる真似をするために用います。
祝箸の別名
祝箸は末広がりの八寸(約24㎝)の長さをしていて縁起がよく、両方の先端が細くなっています。
理由は、片方が神様用、もう片方が人間用とされているためです。
そのため、両口箸とも呼ばれています。
その他にも、祝箸には様々な別名があります。
柳箸とも呼ばれることがありますが、これは文字通り柳の木で作られたからです。
お祝いの席で使うため、丈夫にするために柳を使ったと考えられています。
おめでたい席や、神様のための箸が折れてしまうのは確かに縁起が悪いことです。
俵箸とも呼ばれます。
中間部分が太くできていることから、米俵を連想することができます。
これには五穀豊穣を願うという意味もあるとされています。
更に、中間部分が膨らんでいることから、お腹の大きな妊婦を投影し、子孫繁栄を表しているとも言われています。
このことから、はらみ箸とも呼ばれています。
新年にやって来る神様
昔から元旦になると各家庭に神様がやって来ると言われていました。
それが年神さまです。
古代日本では、田畑を耕し農作物を作っていた農民がその年の豊作を祈念しました。
それが年神様を祀る行事となり、正月の中心行事となっていました。
年神様には五穀豊穣や子孫繁栄をお願いするために御節料理をお供えします。
それを神様に捧げて、自らも頂くために使われた箸が祝箸です。
現在でも「新しい年を迎える」という表現や「一年の計は元旦にあり」との言葉が使われます。
神様を迎え入れ、共に御節料理を食べるための特別な箸であると考えると、毎年、普通に使っていた祝箸に特別な感情が生まれるかもしれませんよ。